概要:6年時点での各委員会で、委員長決定の瞬間。





【保健委員会】

乱「えー。ついに最高学年になりました。ついに六年間、二人揃って保健委員会でした……」
伏「伊作先輩と同じだねー。すごいスリルー」
乱「伏木蔵の場合はさ、雑渡さんに会いたいからって立候補でしょ!? 私は別に保健委員会にそこまで執着自体はなくってね!?」
伏「嘘だぁ。今じゃもう、骨の髄まで立派に保健委員じゃないか。東に怪我する人がいれば走って行って穴に落ち、西に病気の人がいれば薬草を取りに行って虫に刺される。立派だよねぇ」
乱「……あの、伏木蔵? 悪意こもってない?」
伏「全然? だって事実じゃない」
乱「はっきり言われるとね、悲しくなるモンなんだよ……」
伏「まぁとにかくさ。そこまで立派な保健委員だし、もう委員長は乱太郎で決定だよねぇー。ハイ、異論なしってコトで申請書に書き込んじゃおう。さらさらり」
乱「へ!? あ!? なにしてくれんの伏木蔵! っていうか、立候補するくらい保健委員が好きなんだから、伏木蔵がやればいいでしょ!?」
伏「んー、乱太郎はまだ分かってないねぇ」
乱「……なにを?」
伏「委員長に就任しちゃうとね、好きなお薬を作りづらくなっちゃうでしょ。まだ作ってみたい薬、作り終わってなくってさぁ。それに自分用の新しい骨格見本も手に入れたいしね。委員長っていう肩書き、正直僕には邪魔なんだよねー」
乱「……とりあえずさ、今年はまた新たな不運に巻き込まれまくる予感しかしないんだけど……」
伏「ガンバレ委員長ー」


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【図書委員会】

き「俺、無理だから」
怪「うん、バイトがあるもんね。私は特に忙しくなる様子もないし、委員長を引き受けるのもやぶさかじゃないよ」
き「……つくづく思うんだけどさ」
怪「どうかした?」
き「俺のまわりって、ホンットいい奴ばっかだよなぁ」
怪「それもきり丸の人徳だよ。頑張ってる友人は応援してあげたくなるじゃないか」
き「……俺さ、学園に来てホントに良かったよ」
怪「そう言ってくれると私も嬉しいよ。申請書には私の名前を書いとくね」
き「なんか、ここまであっさり引き受けてもらえると申し訳ねぇなぁ」
怪「気にしなくていいって。きり丸はずっと自分で稼いだお金で学園にい続けてるんだしね。もし後輩の子が、きり丸がよく遅刻することに不満を漏らしたりしても諭せる自信はあるよ。だってここの学費ってかなりするでしょ? それを一人で払い続けることの大変さは、見てて知ってるつもりだからね」
き「……やめろよ。俺こう見えても感激屋なんだからさ。泣いちまったらカッコ悪いだろ」
怪「嬉しい涙ならいくらでも流せばいいのに。あ、でも一つだけお願いしてもいい?」
き「ん? なんだ?」
怪「予算会議のとき、私はあまり役に立てない気がするからさ。そのときは先頭切ってもらいたいんだけど。それを了承してくれるなら、委員会への遅刻も許容範囲だよ」
き「おう! 金の分捕りなら任せとけ!!」


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【用具委員会】

平「ついに六年生だねー」
し「だねー」
喜「なんか早かったねー」
平「二人と一緒に用具委員をするのは、二年生のとき以来だよね」
し「だねぇ。僕は去年と一昨年、他の委員会で勉強してたし」
喜「僕も、三年のときと去年は生物委員会に行ってたからねぇ。このメンバーがそろって用具委員会って、ホント久し振りだよねぇ」
平「しめりけはマシになってるし、昔ほど気を遣わなくても良くなったかもしれないよね」
し「ホントホント。鼻炎もずいぶん治ったからね。冬になるとちょっと危ないけど、昔ほどじゃないからねぇ」
喜「食満先輩がいた頃みたいに、楽しい委員会に出来たらいいねぇ」
平「うん。……あのさ、そこでちょっと相談なんだけど」
し「なぁに?」
喜「改まっちゃって、どうしたの」
平「委員長、僕がやってもいいかな」
し「……」
喜「……」
平「ダ、ダメかなぁ……」
し「あー、違うよ違うよ平太、そうじゃなくって! 僕もう、平太がやるって決まってると思ってたよ?」
喜「っていうか、他に誰がやるの? 僕もしんべヱも、委員長って柄じゃないよー?」
平「……え? いいの?」
し「うん、平太がピッタリだよー」
喜「食満先輩に憧れて、ずーっと用具委員会続けてたもんねぇ。ここまできたら平太がやらなきゃ嘘でしょー」
し「頼むね、下坂部委員長」
平「……うん。頑張る。二人ともありがとうね」


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【会計委員会】

左「きり丸が図書委員会に帰って……三年振りにお前が会計に戻ったわけか……。昔のように徹夜作業も復活だなこれは……」
団「っんだよ! 俺が古巣に戻ってきたことがそんなに不満か!?」
左「別に不満とかそういうことじゃないさ。ただきり丸の計算の速さが神掛かりすぎてて、あいつが所属している間はどんなに帳簿が多かろうと伝票が山と詰まれていようと、徹夜なんてしたことがなかったんだ……。それを思うと、最終学年にあいつの能力がないってのはものすごい痛手だなぁと……」
団「……あー。うん。それは分かる。ぶっちゃけ左吉と交代してほしい」
左「なんで俺が交代って話になってんだよ! 同じクラスなのはお前だろ!」
団「だって久し振りに会計に戻ったのにさー。さきっちゃんが意地悪ばっか言うからよー」
左「別に意地悪を言ったわけじゃないだろ。お前が戻った事は、それはそれで少しは嬉しいさ」
団「へ? ホント?」
左「嘘を言ってどうする。実はお前を委員長に推薦したいんだ」
団「……さきっちゃん、ちょっとデコ出せ。熱でもあるんじゃねぇの?」
左「熱はないっ! いや、これは本音なんだぞ。お前は確かに未だに計算は苦手だしアホだし字も汚いしで、とてもじゃないがこの委員会には不向きだが」
団「喧嘩売ってんなら買うぞコラァ!」
左「まぁその点を全て差し置いても、お前には無駄な体力と無駄なカリスマ性がある。委員長を名乗るには俺よりも適任だと思うんだ」
団「……なーんか裏がありそうだなぁ」
左「ないない」
団「ふーん……。まぁそこまで言うならいいけどさー」
左「助かるよ。……よし、書けた。これで予算会議で作法に狙われるのはお前だな! 死なないことを祈ってやるよ!」
団「裏ありまくりじゃねぇかお前ぇえええええ!!」


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【作法委員会】

兵「僕がやる」
伝「駄目だ。お前なんかには任せられん」
兵「僕がやるったら僕がやる」
伝「駄目ったら駄目だ。今回ばかりは大人しく諦めろ」
兵「やだ!」
伝「いや、やだってお前……。子供じゃないんだから聞き分けろよ! お前の傍若無人な振る舞いに、下級生を巻き込ませるわけにはいかないんだよ! どうせ委員長になろうがなるまいが、お前が好き勝手することに変わりはないんだから、立場くらいは控えとけよ!!」
兵「やーだー!! 絶対! やだ!! 僕がやる! 絶対やる! お前がなんて言ったってやるの!! 下級生は可愛がるし無茶させないし、五年や四年にも極力気を遣うから! 僕が委員長やる!!」
伝「なんでそこまで委員長って肩書きにこだわるんだよ! アホのは組らしくないぞ!?」
兵「アホのは組って言うな! ハゲろ!」
伝「ハゲてたまるか。っていうか、低学年みたいな罵倒をするなよ」
兵「ううー、だって委員長のほうが一年生の印象に残るだろ! ってことは懐いてもらいやすいだろ!! 僕が子供好きで甘やかしたがりな事くらい知ってるだろー!?」
伝「……まぁそりゃ、四年以下への態度とか三治郎への甘やかしっぷりはもう腐るほど目にしちゃいるけどさ。でもそのためだけにお前」
兵「立花先輩は焙烙火矢! 綾部先輩は穴掘り! 浦風先輩は生首フィギュア! やたら目立つ特技ばっかり持ってる作法委員会で、お前と僕のどっちが目立つ!? 僕だろ!? だったら決まりってことで納得しろよ! 問題ない! 大丈夫!」
伝「…………いいよ、分かったよ。なんで僕はお前にこんなに甘くなったんだ……」
兵「わーい! これで好き勝手作れるぞー」
伝「今まで充分好き勝手だろ、お前の場合!」


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【生物委員会】

虎「なんかうちの委員会見てると、上級生ばっかって印象だよなー」
伊「六年が四人だからねー」
孫「でも生き物の世話って大変だからね。これくらいがきっとちょうどいいんだよ」
一「ねぇ、あのさ」
虎「でもこのメンバーだと、どうしても違和感があるなー」
伊「あー、そうかもね」
孫「昔とほとんど変わらないけど、三治郎がいない代わりに伊助だからね。なんかちょっと変な感じだ」
一「ちょっと、聞いてよ」
虎「まぁ、三治郎は三治郎で火薬委員を楽しんでるみたいだしなぁ。伊助ももう生物委員会三年目だし、なにも心配はいらないだろ」
一「だー! もう!! わざとなの!? わざと無視してんの!?」
孫「ん? 一平、なんか言ってた?」
一「素で気付いてなかったんだ……。なんか、そのほうがちょっとショックかも……」
伊「ごめんごめん。で、どうしたの?」
一「あのさ、委員長の件なんだけど! 僕が立候補するよ!! 言、言っとくけど反対したって聞かないからね! 近頃クラスでも天然だのなんだの言われて、なんか子供扱いなんだよ! だから委員会くらい僕が溢れ出んばかりのリーダーシップを発揮してだね……!」
孫「うん、いいんじゃない? 一平なら真面目だし」
一「……え?」
虎「うん、俺も賛成。書類仕事とかあっても忘れそうにないし、ピッタリじゃないかな」
一「……え、え? いいの? ホントに?」
伊「うん。困ったことがあったら相談してよ。四人でもっといい委員会にしていけたらいいね」
一「うん! 頑張るね! 頑張ろうね!!」


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【体育委員会】

金「委員長名を書いて、学級委員長委員会に提出って言ってもなぁ……。うちに六年は僕しかいないわけだし、もう分かりきってるだろうに……」
四「金吾、金吾」
金「でも今年の委員会活動の内容をどうしようかな……。七松先輩のときがマラソンと塹壕堀、滝夜叉丸先輩のときは戦輪教室。次屋先輩のときはバレーと体術、去年の時友先輩のときが隠れ鬼だったっけ。今年なぁ……」
四「剣術教室でいいんじゃないかな。金吾らしいし、手裏剣は得意になっても刀の使い方が下手な子って結構いるからねぇ」
金「んー、やっぱそれしかないかなぁ……。って、時友先輩!?」
四「あ、やっと気付いてくれた。金吾久し振りー」
金「お久し振りです! ど、どうなさったんですかいきなり。確かチャミダレアミタケ城に就職なさったんじゃ……」
四「うん、城勤めだよー。でも今日は半休とって来たんだ。そろそろ新しい委員会が決まるかと思ってさ。やっぱり金吾も、六年間体育委員会で通したね」
金「……はい。心と体を双方同時に鍛えることの出来る、唯一の委員会だと思ってますから」
四「花形だからね」
金「いや、それより本当にどうなさったんですか?」
四「ある種の伝統だよ。新しい委員長に、活動の助言をするの。僕のときも突然次屋先輩がおいでになってね、探すのが得意なんだから山二つ分くらい使って隠れ鬼でもしたらいいんじゃないかって。次屋先輩は滝夜叉丸先輩に、とにかく絶対に走り回らない活動にしろって言われたらしいよ」
金「それであの年は迷子率が低かったのか……理解しました。助言頂いてありがとうございます。活動内容を決めるのも悩みますね」
四「特にここは、これといった内容が決まってないからね。心と体を鍛えるために一番有効だと思ったことを活動内容に据えればいいんだよ。僕らがそうして育ったようにね」
金「はい。あ、もしお時間があれば食堂でお茶でもいかがですか? いろいろお話を伺いたいです」
四「いいね、僕も金吾の話を聞きたいと思ってたしちょうどいいや。お土産もあるし、少しゆっくり雑談といこうか」


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【火薬委員会】

タ「おーい、三治郎くーん」
三「わ、タカ丸さーん! お久し振りです! 今日はくノ一教室に髪の結い方指導ですか?」
タ「うん、もう終わって帰るところなんだけどね。女の子はいつでもおしゃれに興味津々だからね。流行の髪形や着物の柄、帯の結び方をを知っておかないと、潜入先によっては怪しまれちゃうでしょ? その点では、僕達より覚えることが多いのかもしれないよねぇ」
三「男はあんまり気にしないと思うんですけど、そんなものなんでしょうか」
タ「男は気にしなくても、潜入先の女性陣に怪しまれることはあるだろうねー。いくらはやりに興味がない人でも、どれもこれも知らないって事はなかなかないでしょ? 話が合わないと、普段どういう生活してるんだろうって思われちゃうんだよ」
三「なるほどー。くノ一も大変ですね」
タ「ところで、今年は三治郎君が火薬委員長?」
三「はい! もう三年目ですし、火薬の扱いにも慣れたモンですよー。それに火鉢や甘酒はダメでも、懐に温石を入れての活動はいいってことになったんで、冬の活動も少しマシです。それにここの空気は冷たくて澄んでて、霊山を思い出すから気持ちいいんですよね」
タ「山伏の子だねぇ。そういえば今度、三郎次君も様子を見に来るって言ってたよ。委員長就任のお祝いに、お団子でも奢ってもらえればいいねぇ」
三「ホントですか!? やった、甘いもの食べさせてもらおうっと! ちなみにタカ丸さんからのお祝いはないんですかー?」
タ「僕? 僕はねぇ、今から美味しいおうどんやさんに誘おうと思ってたんだけど、お腹は減ってるかな?」
三「余裕です!」
タ「そっか! じゃ、門の前で待ってるからねー」


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【学級委員長委員会】

庄「さて。で、僕達がトリなわけだけど」
彦「お前さ、いきなりメタなこと言うのをやめろよ」
庄「あぁごめん。でもそれはこの際受け流そうよ」
彦「受け流していいところなのか、それ。……で、なに」
庄「二つ前の体育と火薬にOBが登場してたわけだけだよ」
彦「……そうだな」
庄「そして僕らがトリ、つまりオチな訳だよね」
彦「…………そうだな」
庄「出ないわけがあるか?」
彦「………………うん、まぁ多少の予想は」
三「うんまぁ多少の予想はと言われれば!」
勘「出てきちゃうのが世の情け!!」
三「学園の破壊を防ぐため!」
勘「学園の平和を守るため!」
三「愛と真実で勝手を貫く!」
勘「ラブリーチャーミーな先輩役!!」
庄「鉢屋先輩、尾浜先輩、、お久し振りです」
三「あぁああん邪魔されたぁあああ!!」
彦「あー、せめて最後まで言わせてあげればいいのに」
勘「二人とも、今もとっても冷静だなー」
庄「一言言わせて頂ければ、些かネタが古すぎるかと思います」
三「冷静すぎる突っ込みチクショウ!」
勘「だからもうちょっと新しい、ジャッジメントですの! にしようって言ったのに」
彦「尾浜先輩、時代忘れないでくださいね」
庄「で、どうなさったんですか? お二人揃ってなんて珍しい。あ、今お茶を点てますからそこにお座りください」
三「あぁ、お気遣いなく。まぁ来た用件といっても大したもんじゃない。果たしてどっちが委員長になるのかと思ってな」
彦「その件でしたら庄左ヱ門に決定ですよ。もうずっと言ってたんです、僕より庄左ヱ門のほうが適任だと」
勘「そっか。彦四郎はい組の中でも随分庄左ヱ門に影響受けてるもんなー。頭が柔軟になってていい子いい子」
彦「や、やめてくださいっ! 恥ずかしいです!」
三「まぁそんなところかなぁと思ってはいたんだが。そうか、なら喧嘩やなんやかんやの心配はいらなさそうだな」
庄「ご心配頂いていたんですか。ありがとうございます」
勘「あー、建前だから気にしなくていいよ。とりあえず思いっきり目立つように二人の前に出たかっただけだから」
彦「まぁそんなところかなぁと思ってはいました」
三「な、なんだとチクショウ! 今度は絶対驚かせてやるからな! 覚悟しておけ二人とも!」
庄「はい。でも鉢屋先輩ご自身が不破先輩に怒られない程度にしてくださいね」