概要:は組のほかのメンバーに、各カップルについてどう思ってるか聞いてみました。





【金吾と喜三太について】

「じれったい!」
「メッチャクチャじれってぇ!」
「はは、確かにじれったいかなぁ」
「なーんか見ててムズムズするよねー」
「二人でしゃべってるの見ると、金吾の背中を突き飛ばしたくなるなぁ」
「いいからとっとと押し倒せと思う! マジで!!」
 思い思いに同じ主張を見せた六人に、伊助がさすがに冷や汗を掻く。
「兵太夫、きり丸、庄ちゃん、三治郎、虎若、団蔵。それ金吾に言ったらダメだからね。多分へこむから。間違いなくへこむから」
「みんな言うこときついよねぇ」
 あははと笑うしんべヱの言葉に苦笑で同意を示し、伊助の目が乱太郎へ移る。まぁ間違っちゃいないんだけどねぇと引き攣った笑いに、乱太郎は穏やかな笑みを浮かべたまま首を傾いだ。
「でも私は思うんだけどさ? 早急に相手に手を出しちゃう人や、意中の相手に手を出さないまでもバイト感覚で女装の上デートする人よりか、ずっと好感が持てると思うんだ」
 そう思わないかなと笑顔を絶やさない乱太郎の前で、数人の顔から血の気が引く。
「……ごめんなさい」
「すみませんでしたマジすみませんっした」
「若さと共に暴走した性欲が悪いんだ、勘弁して」
「やらなきゃ俺が庄ちゃんにやられてたんだってばぁあああ!!」
「ごめん。団蔵に関して言うなら、元はと言えば僕が悪い」
 ズラリと並んで頭を下げる五人に、呆れも過ぎて乱太郎の肩が落ちる。まったくと漏れ落ちた呟きに便乗し、なにかを書き留めているらしい乱太郎の手の動きに恐る恐る三治郎と伊助が手元を覗き込むと、二人はうわぁと引き攣った声を上げた。
 その声に、それぞれが首を傾ぐ。
「はい、今保健委員会の当番ノートに書きました! これから一週間怪我したら、この面々の手当ては伏木蔵が担当します」
「嫌ぁああああああああああ!!」


−−−−−


【団蔵と庄左ヱ門について】

「とにかくあれだな、男っぽい二人」
「同意」
 きり丸の意見に、兵太夫が右手を上げて同調する。その後金吾、虎若、伊助、しんべヱまでもが同意すると、喜三太がふにゃりと頬を掻いた。
「んーっとね、三治郎や伊助みたいな、柔らかいとこがない感じがするよね。ふわふわしてなくて、二人ともしっかりしてるから」
「そうだね。まぁ作戦参謀と実戦現場指揮って役割の影響もあるだろうけど。二人とも別の意味でリーダー格だし、衝突することも少なくはないから。他のみんなみたいに、頑張ってる背中を支え合ってるって感じではないかな。どっちかって言うと、拳をぶつけ合ってお互いに励ましてるというか」
 喜三太の言葉を拡大し、乱太郎が意見を述べる。その言葉にうんうんと数度頷きながら同意を見せる面々に、三治郎が異論を唱えた。
「励まし合ってるって言うか、気力をお互いに交換してるって感じがするかなぁ。なんかこう、無自覚にさ。殴り合いながら、意見や考えとかだけじゃなく、互いにない部分を補充してるみたいな」
「分かった、三ちゃん! うまく言えないけど、感覚的には伝わった!!」
「ほんと!? 兵ちゃんならそう言ってくれると思ってた!」
 きゃっきゃとはしゃぐ二人を眺め、虎若が呆れた視線を送る。
「まぁ、言いたいことは分かるけどなぁ。俺と伊助じゃあ、あぁいう真似は出来ないだろうなと思ってる。殴り合いは出来てもさ」
「それはそうかも。虎若と私じゃ、……んー、区分が違いすぎてと言ったほうがいいかな、そういう意味で比較にもならないんじゃないかな。あの二人のは、なんて言うんだろう。もっと遠くを見ながら想いを交わしてる気がする」
 分かってあげられないのが少し寂しいけれどと呟いた伊助の背を支え、虎若が額を寄せる。それを横目に流し見、金吾はぼそりと呟いた。
「多分一番割り切ってるのは、あいつらなんだろうな」
 瞬間、場が水を打ったように静まり返る。それを数度の瞬きで顔を見合わせ、しんべヱと喜三太がへらりと笑みで打ち消した。
「なんにせよ、あの二人はカッコいいよねぇー」
「だよねぇー」
「……お前らはホントにすげーな」
「うん。しんべヱと喜三太がいなかったら、一度鬱になった空気は打破できないとまで思えてきた」


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【虎若と伊助について】

「オカンと掃除が嫌いな息子その1ー!」
「違うだろ団蔵、オカンと脳味噌筋肉な旦那だろ」
「えー、虎若って旦那って感じしないけどなー? いいとこ、体操のお兄さんじゃない?」
「三治郎、時代考証忘れないで」
「どっちにしろ伊助の立場は母上なんだろうけどな」
「母上って呼んじゃうの、金吾だけだけどね」
「うっわ、金吾だっせ」
「そんなこと言っちゃダメだよぉきり丸」
「金吾すぐ泣いちゃうからぁ」
「待っ、違ッ、泣かないし!!」
「あー、はいはい。誰が喋ってるから分かんないから、いったん静かにー!」
 二度手を打ち鳴らし、沈黙を求める級長に従って押し黙る。その素直さににっこりと笑みを返し、さてと庄左ヱ門は膝を打った。
「ちなみに僕の知る限り伊助は、虎若が誰かに殺される時が来るなら自分が殺すと言ってました」
「ちょ、いきなり重いよっ!?」
 明るい口調で飛び出した爆弾発言に、乱太郎が噴き出す。
「あー、俺も聞いたことあるな。虎若は殺されるなら伊助がいいって」
「あいつらどんだけ重い恋愛してんの!?」
 乱太郎に続いてのきり丸のツッコミに、はっはと明るく庄左ヱ門と団蔵が笑う。笑い事じゃないでしょうにと呆れた乱太郎の後ろで、兵太夫が眉間を寄せた。
「……殺し殺される約束までしてるとは……。侮れないね、虎若と伊助も……」
「だねっ! 僕らもそうなろうね、兵ちゃん!」
 便乗し、拳を握って意欲を見せる三治郎を映した兵太夫の目が潤む。まさかの感動に唇を戦慄かせ、二人は人目も憚らず抱き合った。
「っ、三治郎!」
「兵太夫!!」
「いいからお前らはよそ行ってやって来い!!」


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【兵太夫と三治郎について】

「バカップル」
 目を据わらせたきり丸の一言。
「超、過保護」
 同じく、団蔵の言葉。
「兵太夫は過保護、三治郎に至っては半分崇拝状態」
 うんざりとした様子で虎若が肩を落とす。
「……確かにその通りだと思うけど、なんか怨念籠ってるね。あの二人に入り込む隙間がないのは、もう一年の頃から分かりきってるじゃないか。なにを今更」
「今更なんだけどさぁー」
 庄左ヱ門の言葉に反論も出来ず、ぐてりと三人がその場に野垂れる。それをだらしないと叱責し、伊助と金吾が引き起こした。
 それに渋々従い、座り直す。
「歳を負うごとに周りが見えなくなってってる気がする」
「そう、特に学園内で!」
「さっき廊下で口吸ってたの見ちゃってさぁ。さすがにヤバいだろあれは」
 破廉恥なと憤慨した金吾を喜三太が押し留めるに任せ、なるほどと数度頷く。それは確かに頂けないと呟いて、庄左ヱ門は乱太郎へ視線を投げた。
 苦笑を漏らした乱太郎は、そっと伊助に発言を促す。
「ん? あぁ、つまり私に、下級生が見たら不健全だからやるなら部屋でやりなさいって言って来いってこと? 他の皆が言っても聞かないから?」
「母ちゃん、お願い!」
「母ちゃん、俺もう見てらんない!」
「伊助ー、頼むー」
「母ちゃん母ちゃん言うなぁ!! 分かったって。早いうちからそんな知識覚えたら、ろくな上級生にならないからね!」
 言葉に、思わず庄左ヱ門を含めた四人が視線を逸らす。まぁそういうことだよねと朗らかに笑った乱太郎が、今度はしんべヱに視線を移した。
「いっそしんべヱ、今度学園内バカップル決定戦でもやったらどうかな」
「えー、なんか恥ずかしいなぁー」
「誰が得するんだよ、そんなチケットが売れそうにもない暑苦しい決定戦……」